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ぷちぷちサミット(4)2022年後半の予想


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2022年後半からの新世界?

イシ: ロシアと中国を軸とした新しい政治経済圏ができるという前に、今目の前に迫っている数か月後のことを予測できますか?

幽大: 余輩の予言や予知は、正確な時間までは見えてこないことが多いのでな。数か月後というのは、今年、2022年後半ということだろう? その範囲なら、むしろ情報を持っている二人のほうがはっきり見えておるんじゃないかね。

吾狼: ぼくは仕事柄、いろんな職種の人、現場で実際に動いている人たちと会って話をすることが多いんですが、今年に入ってからは、誰もが異口同音に「日本はとんでもない窮地に陥る」と言いますね。

幽大: どういうふうにだ?

吾狼: とにかくありとあらゆるものが入手困難になり、価格が暴騰していくと。

幽大: その代表は食料だろう? 最初に話題にあがった通り。

イシ: それは間違いないですね。今はまだ、値段が上がったというだけで、店から食料品が消えたわけじゃない。でも、もうすぐ店に並ばなくなるものが出てくるんじゃないかな。
 3.11のとき、スーパーの食料品棚から品物が消えたことがあったけど、あれはパニック買いで一時的に消えただけだった。でも、今度は本当に商品が入ってこなくなるかもしれない。秋にははっきりするでしょう。

↑↓2011年3月のスーパー



↑2011年3月のガソリンスタンド

吾狼: ぼくら、食料生産者じゃない人間はどう対処すればいいですかね。

イシ: 備蓄というのも限界があるしねえ。缶詰のような保存できるものはある程度ため込めるかもしれないけど、肉だの野菜だのという生ものはまったく無理だし。米だって、白米は冷蔵しないと長くはもたない。

吾狼: 先日、循環農業に取り組んでいる農家の人と話をしたんですが、彼は、都会に住む自称ミニマリストとかエコロジストたちは生き残れないだろうと言ってましたね。

幽大: ミニマ……?

吾狼: 極力物を持たない生活を実戦しようという人たちのことですね。部屋の中に余計な家具とか雑貨とかは置かない。道具や衣類も最小限に絞る。狭い部屋でもものを置かなければ快適に過ごせる、といった生活スタイル。一種の流行りになって、よくメディアでも取り上げられてますね。

幽大: それは結構なことのように思えるが。

吾狼: はい。それ自体はいいかもしれませんが、農家の人たちから見たら、そんな暮らしは、逆に、モノが十分あるからこそできるんだ、と。
 すぐそばにコンビニがあって、夜中でも食料が買える。必要なものは何でもネットで注文すればすぐに家まで届く。便利すぎる世の中だからこそ「物を持たない」などと言っていられる。店から商品が消え、燃料高騰で物流が止まったら、たちまち飢える、と。

幽大: なるほど。それはそうだろうな。倉庫も持っていないから、食料の備蓄とかできないし、電気やガスが止まったときの代替策も持っておらんわけだからな。

吾狼: 都会の自称エコロジストというのも同様で、コンビニでレジ袋や割り箸はもらわず、マイバッグやマイ箸を使います、という人の中には、レジ袋や割り箸の有効活用を知らない人がいっぱいいる、と。
 農家の人たちは、割り箸を見たら、焚きつけに使えるな、とか、ナイフで先を尖らせれば太い串になるとか思うわけですよ。レジ袋も何枚か重ねればバケツ代わりになるとか。
 ノコギリや玄翁を使ったことがない、ドライバーも持っていない、クルマのボンネットを開けて中を見たことがないというような人たちが、これから来るエネルギー危機、食糧危機を乗り越えられるとは到底思えない、というわけです。

イシ: それはそうだろうね。農家の人は、職人的な仕事は何でも一通りできないといけない。建物や道具を修理したり、収穫したものを加工したり、車のメンテナンスや簡単な修理だってできてあたりまえ。

幽大: 百姓だけではないな。運ちゃんとか船乗りとか木こりとか、みんな生きていくための最低限の技術は持っておるだろ。

イシ: 話はちょっと脱線するかもしれませんが、イチエフ(福島第一原発)が爆発したとき、停電で何もできない中央制御室で、なんとか計測器類だけでも動かそうと、職員たちが駐車場に停めてあった通勤用の自家用車からバッテリーを外して集めてきて、そこから電気をとろうとしたということがあります。漫画みたいな話だけど、実際にあったんですよ。
 原発でそんな事態になること自体とんでもないことなんだけど、普通の日常生活でも、電気、ガス、水道が長時間止まったら、じゃあどうしようか、と考えるでしょ。そんなとき、手元に何もない生活だったら対処しようがないわけで、食べ物と寝る場所を求めて都会を歩いて脱出するしかないでしょうね。

幽大: 身ひとつで避難するときは、そのミニマ……なんとかという生活はいいんじゃないか? 身軽で動きやすいから。

吾狼: 家財道具やら趣味の品やらが家にいっぱいあると、踏ん切りがつきませんからね。でも、食えないのは困るわけで、都会に居続ければ飢えてしまう。
 食料はいちばん困りますけど、他のものもことごとく手に入りにくくなりますよね。今既に、建材とか住宅機器とか半導体とか金属類とか、あらゆる産業の基本となる部材、材料、部品が入手困難になってます。
 工務店を取材したときは、新築やリフォームの受注があっても、モノが手に入らなくて仕事が成立しなくなったと。
 なんとか家ができあがっても、トイレの便器が手に入らなくて引き渡しができないとか、給湯器がつけられないとか。
 メーカーに在庫がないので、ヤフオクやメルカリで捜して、ようやく見つけたと思ったら、配送はしない、手渡しだけだというので、遠方まで引き取りに行ったなんて話もありました。


イシ: 今まではこういうことがあっても、ひと月もしないうちに徐々にもとに戻ったんだけれどね。今回ばかりはどうなることか。悪化する一方という気もするなあ。
 ロシアと上手くやらなければ食料やエネルギーが入ってこない。中国と上手くやらなければレアメタルや半導体などのパーツ類が入ってこない。日本は工業国といっても、部材は外から調達しなければならないし、肝心の加工技術、製造品質も、今は他の国に比べて圧倒的な差をつけているわけじゃない。むしろ逆転されている分野もたくさんある。家電なんか、大手メーカーブランド製品でも国内生産のものはほとんどないでしょ。

吾狼: 東芝なんか、すでにブランドだけ残っていて、実体は中国企業だったりしますよね。テレビは5年も前に中国のハイセンスグループに丸ごと買収されましたし。今残っているのは東芝REGZAというブランドだけです。
 それで、「中国の東芝テレビ」になって品質が落ちたかというとそんなことは全然なくて、むしろ今までより生産ラインが効率化されてコスパがよくなったりしている。こうなると、もはや日本は本当に工業国なのかと疑いたくなりますもの。

イシ: 今までずっとアメリカベッタリできた日本は、ここ数十年ですっかり日本ブランドという強みを失った今、他国からどう見られているか、だよね。
 100円ショップを支えていたのは中国の家内工業や小さな工場だけど、今は日本の100円ショップ製品を作っても儲けがほとんどないので、欧米への輸出に切り替えている。100円ショップ商品が他の国では日本の2倍、3倍の価格がつけられて売られているからね。でも、日本では100円ショップの商品が200円、300円になったら買えないという貧乏生活の人たちがいっぱいいる。今までのつき合いもあるし、可哀想だからギリギリのところまではつき合ってあげよう、みたいなお情けで中国から商品が届けられているのが実状だよね。
 売ってあげないと日本人が困るから可哀想だ、というお情け輸出。食料やエネルギー資源も同じでしょ。売ってあげないと日本人が飢えてしまうから、仕方ないなあ……みたいなことになってる気がする。でもそれも、いよいよ足りなくなれば当然切り捨てられる。
 食糧の輸入に関しては、やはりアフリカとか東南アジアあたりの国々が先に深刻なことになって、餓死者も出るだろうけれど、その次は日本じゃないかな。

幽大: 餓死か……。ほとんどの日本人は想像できないだろうな。しかし、江戸時代には普通にあった。
 今はあのときよりはるかに人口は多いし、食糧自給もできていない。外から食糧が入らなくなったら、地獄だろうな。

吾狼: なんかドヨ~んとしてきちゃいましたね。身も蓋もない終わり方になっちゃいますけど、とりあえず今日のところはこのへんにしておきましょうか。ぼく、これからちょっと買い物に行くので……。

イシ: はい。じゃあ、また。

幽大: 達者でな。

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マイルド・サバイバー
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