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ぷちぷちサミット(23) ダボスの思考回路(2)


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2023/03/07 第7回の2

シュワブ、ゲイツ、ハラリの人物像

イシ: 私が興味を抱くのは、WEFの中のヒエラルヒーです。ただの駒として取り込まれる日本の政治家みたいなのが最底辺にいて、上のほうには会長のシュワブとか特別待遇のビル・ゲイツとかアドバイザーのユヴァル・ノア・ハラリとか。
WEF会長のクラウス・シュワブと岸田文雄総理


中央がWEFのアドバイザーになっているユヴァル・ノア・ハラリ。右がビル・ゲイツ
WeLiveInAMadWorldより)

 シュワブは今月末には85歳になるけれど、彼はロスチャイルド家、ロックフェラー家などと直接血縁関係はなさそうだよね。

吾狼: ないと思います。彼の経歴は不明な部分が多いんですが、僕が把握しているところでは、父親はオイゲン・ヴィルヘルム・シュワブ(Eugen Wilhelm Schwab )という人で、エッシャー・ヴァイスというスイスの技術系、建設系の大企業の工場長をやっていたようです。その工場はドイツのラベンスブルグというスイス国境に近い町にあって、クラウスは一時期スイスの小学校に通っています。

幽大: さすがだな。吾狼くんはそんなことまで調べているのか。

吾狼: はい。シュワブの出自に謎が多いので、謎解きをしないわけにはいかないですよ。
 父親についてはオイゲン・シュワブではなく、ハンク・R・シュワブというドイツ系ユダヤ人ではないかなどという人もいます。ハンク・シュワブはホロコーストを生き延びた後、アメリカに渡って成功するんですが、98歳まで生きて、死ぬ前に自叙伝を書いているんですね。そこには、自分は1914年にフランクフルトで生まれ、家系は15世紀まで遡れて、先祖の中にはロスチャイルド家の5人の創始者の父親であるマイヤー・アムシェル・ロスチャイルドの父がいる、と書いてます。
 でも、それは無理矢理クラウス・シュワブとロスチャイルド家を結びつけようとしているようにも思えますし、なんの根拠もないんですね。
 で、通説通り、父親がオイゲン・シュワブという人物だとして、母親はエマという名前のユダヤ人ですが、父親はすぐに離婚しています。しかし、クラウスはその継母であるエリカ・エプレヒトのことを「母」と呼んでいます。エリカはユダヤ系ではなくアーリア系白人だそうです。
 とにかく謎が多くて、よく分からない人物ですね。

幽大: そういうよく分からん(やから)が、なんで今、世界を牛耳るような組織のトップにいるんだ?

吾狼: はい。クラウスは秀才で、1958年から1966年、スイスにいた8年間であらゆる学位を習得してしまい、その後はチューリッヒのエッシャー・ヴァイス社で働いたり、フランクフルトの機械・プラントエンジニアリング協会のCEO補佐を務めていたんですが、その後、修士号獲得のためにアメリカに渡って、ヘンリー・キッシンジャーやケネス・ガルブレイスとの関係を作りました。
 キッシンジャーには特に可愛がられたようですね。それを足場としてアメリカ国内のみならず、世界的に人脈を広げていきます。
 ロスチャイルド家など、大富豪との関係もそのときに強まったんでしょう。
 30歳でスイスに帰国すると、チューリッヒのエッシャー・ヴァイス社の役員に就任するんですが、突然、すべてを捨てて、1971年1月に世界経済フォーラムを立ち上げました。何があったんでしょうね。

イシ: その時点でロスチャイルド家などとの関係はすでに築かれていたんだろうね。彼はもともと裕福な家で育ってはいるけれど、ロスチャイルドの血とは直接の関係がなさそうだから、あくまでも才覚を見込まれたんだろう。
 ビル・ゲイツもそんな感じだよね。彼の場合は金儲けの才覚もさることながら、すでに持っていた莫大な財力と、世界を征服したコンピュータ企業の創始者という点が大きいね。人をコントロールするのにインターネットとコンピュータは欠かせないから。

幽大: ゲイツはイシコフさんと同世代くらいかな?

イシ: ええ、1955年生まれですから今67歳ですね。

幽大: 千代の富士や江川と同じか。

イシ: そうですそうです。シュワブに比べれば若いですが、まあ、老人ですかね。
 ちなみにハラリはまだ47歳ですね。
 彼らに共通しているのは、権力の世襲にはそれほどこだわっていないところでしょうか。
 ゲイツには二人の娘と一人の息子がいるけれど、あまり表には出てきていないのかな。

吾狼: ゲイツの結婚は38歳のときでしたから、長女が1996年生まれでまだ26歳。長男が1999年生まれで、今23歳。次女は2002年生まれでまだ20歳ですから、社会の表舞台で活躍するような年齢に達していないということでしょうか。

幽大: 離婚のときは結構騒がれたがなあ。かみさんが耐えられなくなったからだとかなんとか。

吾狼: 結婚当初からいろいろ問題を抱えていたようですね。ゲイツは5歳年上のアン・ウィンブラッドというIT会社を経営する切れ者女性にぞっこんで、メリンダとの結婚の際も相談したそうですよ。
 結婚後もウィンブラッドさんとは毎年長期休暇をとって旅行にいっていたそうです。
 それだけならまだしも、大富豪として成功した後は、ジェフリー・エプスタインとの親交を通して、ノルウェーのノーベル平和賞財団に平和賞受賞を働きかけていました。
 そのエプスタインは児童買春や少女人身売買で逮捕され、獄中で自殺したことになっています。なっているというのは、謀殺説が有力だからなんですが、……その真相は別として、とにかくトンデモな人物ですね。マフィアとの非合法ビジネスもしていたそうです。
 エプスタインの別荘にはビル・クリントンが若い女性を連れて自家用機で何度も訪ねているほか、トランプやイギリスのアンドルー王子らとも交友があったことで、逮捕、自殺後はいろいろなスキャンダルが囁かれました。

エプスタインが所有していたアメリカ領バージン諸島のリトル・セント・ジェームズ島↑ エプスタインはここにも多数の少女を連れ込み、性的虐待をしていた。各国のセレブたちも客として訪れていた。ビル・クリントンはエプスタインの自家用ジェットに20回以上乗っていることが分かっている

イシ: ゲイツも、エプスタインの影響を受けてかどうか知らないけれど、会社や財団の女性社員、職員に何度も性的暴行まがいのことをしていたというスキャンダルがあるね。
 妻のメリンダも当然そういう彼の正体は知っていただろうから、子供が成人するのを見計らって離婚を申し出た、というのがもっぱらの見立てだね。
 ゲイツのようなタイプも、子孫に自分の権力を引き継がせようというような欲は薄いんじゃないかな。
 シュワブはどうなんだろうね。さすがにもう歳だから長くはないと思うけど、子供はいたんだっけ? 吾狼さん、知ってる?

吾狼: はい。二人いるみたいですね。ニコルとオリビエという姉弟です。姉のニコルは、世界銀行、ボリビア保健省の保健セクター改革プロジェクトなどに従事した後、2004年にWEFのヤング・グローバル・リーダーズ・フォーラムの創設ディレクターに就任。2009年には職場における男女平等参画のためのEDGE認定財団の共同創設者および社長に就任してます。
 弟のオリビエはマサチューセッツ工科大学を卒業している技術関係の専門家。中国人と結婚し、2012年から2015年まで北京のWEF中国オフィスのエグゼクティブディレクターをした後、現在はWEFのテクノロジー関連の統括責任者みたいな立場にいるようですね。

イシ: なるほど。まあ、順当に世襲という感じではあるね。
 ハラリはゲイだということを公表しているし、実際、イツィク・ヤハフ(Itzik Yahav)という男性と結婚生活を送っている。彼は自分の才能というか、自分の脳だけを信じていて、子孫に何かを託そうという発想はなさそうだな。
 ただ、そういう彼の個性と論理性が、グローバリストたちには利用しやすいんだろうね。

吾狼: ハラリはどんどん変化しているように思います。最初は純粋に人類史を分析し、人間とはどういう生き物なのか、社会はどのように動いていくのかという学問的というか、理論構築に専念していたのが、どんどんWEFとの関係を強めていって、今ではWEFのプランナーみたいな感じでしょう?

イシ: そうだね。ハラリとしては、自分は変わっていない。現実を冷静に見つめ、分析し、理論を述べているだけだと言うかもしれないけれど、グローバリストたちは、その理論にのっとって人間をコントロールすることで自分たちが仕切る世界を造れると思っている。ハラリもそれに引き寄せられて、発言内容がただの分析にとどまらず、未来図を示す方向に傾いているね。

幽大: 学者から軍師、あるいは予想屋になってきたか。

吾狼: とにかく、超がつくリアリストですよね。感情がない、とでもいうか。

幽大: 余輩は何度か彼のインタビューやスピーチを動画で見ただけだが、ムキになって持論を力説するようなところに子供っぽさを感じたな。将棋の藤井くんのほうが大人っぽい。

イシ: ハラリの理論は明解なだけに、すでにAIが吸収し尽くしていると思うんですよ。将棋ソフトが過去の名人たちの棋譜をすべてデータとして読み込んでいるように。

幽大: となると、ハラリの脳が老化してきたときはすでに人工知能にはかなわないから、用済みとなりそうだな。

イシ: 頭脳としてはそうかもしれないですが、広告塔というか、プロパガンダのキャラクター的な利用はされるでしょう。

幽大: なるほど。もっと人間にしか楽しめないことに情熱と時間を使えばいいものを……悲しい人生だな。

イシ: まあ、人の幸福感のことは分かりませんけどね。彼は彼なりに楽しんでいるんじゃないですか。
↑ハラリがTEDで語った内容の一部。多くの一般人は不要となる未来世界について詳細な分析をしている

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