ウクライナ紛争における米露の誤算
吾狼: 今日は2023年2月17日。前回は昨年の10月でしたから、4か月のご無沙汰でした。お二人とも無事でしたか?
幽大: 岩木山麓はまだ一面真っ白で冬ごもりの最中じゃがな。身体はなんとかもっておるよ。
イシ: 私も生きてます。一度風邪を引きかけましたが、葛根湯とイベルメクチンと重曹+レモン果汁ですぐに治りましたよ。どれがどの程度効いたのか分かりませんけどね。
幽大: ひ弱じゃのう。余輩は記憶にある限り、風邪というものを経験したことがない。
吾狼: 幽大さんは鍛えてらっしゃるから、僕たちみたいな都会人とは細胞レベルで健康度が違うんでしょう。
幽大: それは遠回しに「馬鹿は風邪を引かん」と言っておるんじゃろ。
吾狼: いえいえ、とんでもない。
幽大: まあ、よいわ。で、今日は何からとっかかるんじゃい?
吾狼: 僕はこの冬は日本もかなり厳しい食料危機に見舞われるんじゃないかと思っていたんですが、今のところなんとかなってるようですよね。それより怖いのは、ウクライナ紛争が長引いていることです。これは米露どちらも誤算だったんじゃないですか。双方、追い込まれて核を使うんじゃないかと、かなり緊迫した状況になっていると伝えられていますが……。
イシ: 特にロシアは誤算があったかもしれないね。もっと早期に決着できるはずだったんじゃないかな。ここまで長引かせるつもりはなかったはずだよ。
吾狼: どのへんで失敗したんでしょうね。やはり慎重になりすぎたってことですか? なるべく犠牲者が出ないように、面倒な攻め方をしたから?
イシ: 一言で言えばそういうことだろうね。ロシアの戦力を持ってすればウクライナの中心部を落とすことなど簡単だ。ミサイルをどかどか撃ち込めばいいだけだからね。でも、それをやるとどうしても大勢の民間人が巻き込まれるし、インフラの破壊も壊滅的なものになってしまう。ウクライナのネオナチ勢力だけを壊滅させて、あとはNATOの基地や秘密裏に作られていた生物化学兵器の研究・製造拠点、ミサイル基地を消滅させればいい。人はなるべく死なないほうがいい。
しかし、それをするには効率の悪い昔ながらの方法も入れなければならず、ロシア側の兵も殺されてしまう。結果、予定より決着をつけるまでに相当な時間を費やすことになり、損失、特に人的損失が大きくなってしまった。
幽大: では、アメリカ側の誤算というのはどういうものなのかな。
吾狼: アメリカは戦争が長引けば長引くほどいいと思っていたんじゃないですか?
イシ: それはそうだろうけれど、すでに弾切れが近づいているんじゃないかな。量的な戦力でもロシアのほうが上回っているだろうけれど、知らないうちに技術的な面でもロシアのほうが勝っていることが分かってきた。
アメリカはハイテク戦闘機やミサイル迎撃システムのようなものにものすごい値段をつけて輸出しているけれど、ロシアは武器製造や輸出で儲けるという発想より、いかに効率的、合理的に相手を壊滅させるかという視点で兵器開発や備蓄をしてきたと思う。
EMPに関してはアメリカよりもロシアのほうが技術も実装レベルも進んでいるという話も聞くしね。
幽大: EMP? なんじゃそりゃ。
イシ: 電磁波攻撃のことです。具体的には高度数十kmから数百kmの高層大気圏で核爆発を起こし、そこから発生した電磁パルスで地上のあらゆる電気系統、デジタル機器を狂わせて使えなくさせるというものですね。
今や、核兵器というのは地上に落とすのではなく、そういう風に高高度で使うという考え方が主流なんですよ。地上で使うと建物や生物がすべて破壊されてしまうけれど、EMPとして使えば、建物や生物に直接的な被害はすぐには起きない。でも、現代社会では電気系統が麻痺したら生産も輸送も通信もできなくなるから、都市部では飢餓地獄になり、戦争どころではなくなるわけです。もちろん、デジタル機器が使えなければミサイルも戦闘機も使いものにならない。
幽大: なるほど。戦争の概念が大きく変わってきたわけじゃな。
吾狼: 最近頻発している気球撃墜騒動も、EMPとの関連が疑われていますよね。偵察気球だというけれど、EMP攻撃のシミュレーションというかデモンストレーションではないかと。飛ばしているのは高度1万メートル以上だし、大きさからいっても、偵察用の機器を積むだけにしては大きすぎますもの。そもそも偵察用なら人工衛星を使えばいいだけですものね。
イシ: アメリカが核を使うとしたら、本土からミサイルを撃ち込むのではなく、ヨーロッパのNATO陣営からなるべく短距離で打ち込もうとすると思うんだよね。今のアメリカは正気を失っているとしか思えないから、やりかねない。それを察知しているロシアと中国が、俺たちも本気だぞ、その気になればアメリカ全土を麻痺させるEMP攻撃もあるぞと、牽制するためにいろいろやっているんじゃないかな。
幽大: ヨーロッパ内のNATO陣営からミサイルを撃つというのは、どういう根拠かな?
イシ: アメリカはあくまでも自分たちは戦争をしていない、当事者ではないという体裁を作りたい。そんなことしてもバレバレだから意味ないんですが、とにかく報復が怖い。
やらされるのはドイツかポーランドか……。ドイツにはすでに核弾頭を運び込んだという噂もあるね。
吾狼: イギリスはNATOのリーダー格であるはずですが、すでにウクライナ紛争に関しては及び腰になっていて、
負担をドイツに押しつけようとしているみたいですね。
軍備もじり貧状態みたいで……。
例のノルドストリームの破壊も、アメリカが指令してイギリス海軍がやったと伝えられていましたよね。
イシ: それに関しては、ピューリッツァー賞も受賞しているアメリカの有名なジャーナリスト、
シーモア・ハーシュが、アメリカ海軍の潜水浚渫チームがノルウェーの協力の下でやったとすっぱ抜いたばかりだね。
立案・計画・実行における中心人物は、国家安全保障アドバイザー(National Security Adviser )のジェイク・サリバン(Jake Sullivan)と国務長官(Secretary of State )のアントニー・ブリンケン(Tony Blinken)だとも(
⇒ハーシュ自身による元記事)。
左:Jake Sullivan 右:Tony Blinken
要するに、そういう工作やアジテーションはやるけれど、武器を持って直接戦場に行くのは嫌だということだろうね。そういうのは俺たちじゃなくてドイツがやってくれと。
幽大: 上島竜兵みたいなものだな。
英国「俺がやる」
米国「俺がやる」
ドイツ「じゃあ、俺がやる」
英米その他NATO諸国「どうぞどうぞ」
吾狼・
イシ: (笑)
吾狼: 幽大さんはほんとに意外な一面をお持ちで。ここでダチョウ倶楽部が出てくるとは……不意をつかれました。
イシ: まあ、ドイツは首相がバリバリのWEFメンバーですからね。自国の安全よりも世界統一政府を作るという宗教的な使命感みたいなものを優先させている気がしますね。
幽大: となると、ヨーロッパで核兵器が使われるかどうかはドイツが鍵を握っているわけか。
イシ: ロシアはすでにそれを察知しています。先にやられたら被害甚大だから、核弾頭がミサイルに装填されるような動きがあった時点でEMP攻撃なりなんなりを実行するんじゃないですかね。
プーチンはミンスク合意で仲介役を買って出たメルケルを信用したのに、しっかり裏切られたでしょ。一度信用した相手が瞞していたと知ったときの恨みは倍増しているんじゃないですかね。
もしドイツ、ポーランド上空あたりで実行した場合、チェコ、スロバキア、ハンガリーあたりも巻き込まれるでしょうから、ロシア制裁に反対しているハンガリーなどはとんだとばっちりということになりますね。
吾狼: 同時に、北海にいるロシアの潜水艦からアメリカ本土上空に向けても発射されたりして……?
イシ: ありえるね。そうなるとまさしく第三次世界大戦……というか、世界最終戦争みたいなことになるのかな。
幽大: たまらんな。そうなったとき、日本は生き延びられるのかね。
イシ: 難しいでしょうねえ。
幽大: 日本は上島竜兵どころか、山上の母親みたいなものだからな。
吾狼: それはちょっと……笑えないですね。